ご葬儀のマナー
焼香について(仏式)
焼香台を前にして合掌一礼します。左手は合掌のまま、右手指3本(親指、人差し指、中指)で香をつまみ、額のあたりまで頂き念じ、故人を偲びながら焚きます。焼香の回数は、臨済宗は通常1回、曹洞宗は通常2回、真言宗、日蓮宗は通常3回など宗派により異なっていたり、特に定めのない宗派もあります。しかしながら参列された通夜・葬儀の宗派に合わせるか否かは参列者の信教の自由ということでもあります。また、弔問客の多い場合など、たとえ宗派で回数が定められていても丁重に1回焼香するようにします。
玉串拝礼について(神式)
手順として①玉串を受け取ったら、胸の高さで左手で葉を下から支え、右手で榊の根元を上からやや左髙に少し肘を張って持ちます。②神前の玉串案の前に進み、深く頭をさげます。③玉串の先を時計方向に90度回し、左手を下げて根元を持ち、祈念をこめます。④右手で玉串の中ほどを下から支え、さらに時計方向に回しながら、根元を神前に向け、左手を離して右手の下に添えます。⑤やや前に進んで玉串案の上に奉奠します。⑥拝礼は、二礼して、音をたてないように(しのび手)二拍手し、一拝します。
香典袋の表書きについて
仏式;「御香典」、「御香料」 浄土真宗は「御仏前」
神式;「御玉串料」、「御榊料」
キリスト教;「御花料」が一般的です。
「御霊前」はどの宗旨にも使えますが、神式の場合は蓮の花が印刷されていないものをご利用ください。また、三日経の際は「御仏前」と書きます。
香典に入れるお札は
香典には使用したお札を使うのが一般的です。新札の場合は折り目を付けてください。また、お札を入れる向きは裏向きにします。
通夜に行く際の服装について
近年は、斎場等で通夜・葬儀をされる方が多くなりましたので、礼服を着用して参列されることが一般的になってきています。とり急ぎ駆けつける場合は、地味な服装で靴や鞄も黒を基調にし、派手なアクセサリーや光るものははずして参列します。
葬儀参列の心得について
1 葬儀に遅刻すするのは厳禁です。予定時刻の10分前ぐらいに受付を済ませます。
2 告別式(焼香)だけ参列の場合は、時間内に会場に着けばいいです。
3 コート類は脱ぎます。芳名録に記帳し、持参した香典と一緒に受付を済ませます。
4 万一、遅れた場合は、私語は謹んで末席に着きます。
5 中座もできるだけ避けます。
6 焼香の際は、間隔を空けずに焼香台へと進みます。
通夜にも葬儀にも参列できない場合は
弔電やお悔やみ状にて弔意を伝え、後日なるべく早く弔問にお伺いします。無理な場合は現金書留にて香典を郵送します。その際は、参列できなかった理由も書き添えたほうがよいでしょう。代理の方に参列をお願いする方法もあります。
「家族葬で執り行います」というお知らせを受けたが、参列してよいか
家族葬に一般弔問客が参列してはいけないということではありません。「家族葬で執り行うため、親族以外のご弔問はご遠慮ください」という通知を受けた場合は、参列は遠慮される方がよいでしょう。
家族葬に香典や供物を贈ってもいいですか
「香典・お供物は辞退申し上げます」など特別な通知がない限り、通常の葬儀と同じように送っても構いません。
基礎知識
葬儀(そうぎ)・告別式
近年は、葬儀と告別式をひとつのものしていますが、本来は別のものです。葬儀は遺族・親族・近親者が集まって行う宗教儀式(読経と引導渡しにより故人の成仏を祈る儀式)であり、、告別式は故人に縁のある人々(一般会葬者)が別れを告げる(焼香)儀式です。告別式は参列者の一般焼香、寺院の退席ののち、親族代表者の挨拶をもって終了となります。その後故人とのお別れをします。一人一人花を1輪持ち御棺へと進み、故人との最後の対面をします。こののち出棺となり、ご遺族・親族は隊列を組み、棺の後について火葬場へと向かいます。一般会葬者の方々はここでお見送りをし、散会となります。
通夜(つや)
葬儀の前夜、親族や知人が亡くなった人のご遺体と最後の一夜を過ごし、亡き人の霊を守り慰めることを通夜(つや)といいます。
現在では寺院(お坊さん)にお経を読んでいただき、弔問に見えた方々に焼香をしていただいて供養をします。地域によっては、隣家の方(もしくはお念仏仲間)がお念仏をすることもあります。
湖西地域では、弔問に見えた方には、御印として一人ずつに「通夜菓子」をお渡しします。
通夜振る舞いといわれるお食事などは親族、または親しいご友人など故人にご縁が深い方々が席に着くこともあります。
枕経
亡くなられると直ちに菩提寺のご住職に来ていただきお経をあげてもらいます。これを枕経(まくらぎょう)といいます。
お経を読み終わると死にゆくものに対する最期のはなむけとして死者の口に水をささげる末期の水(まつごのみず)あるいは死水(しにみず)という儀式を行います。これはお釈迦様が入滅(にゅうめつ)される直前に喉の渇きを訴えて水を求め、鬼神がこれを捧げたてまつったという故事に由来しているといわれています。
人生最後の時を肉親に見守られて往生したいという故人の願望と、もう一度生き返ってほしいというご遺族の思いが秘められた決別の儀式です。その場に居合わせた人全員で行います。
湯灌・納棺
ご遺体を棺に納めるときに湯水で体を拭き清めることを湯灌(ゆかん)といいます。現在は清浄綿を用いることが多いですが、以前は湯水を使用しました。湯灌に続き、ご遺体の髪を整え、男性ならばひげをそり、女性ならば薄く化粧を施します。その後旅支度をして棺に納めます。これを納棺といいます。以前はこの一連の儀式をご親族の手で行われてきましたが、近年ではこの地域においても納棺師を依頼される方が多くなってきました。
茶碗を割る
出棺の際に故人の茶碗を割るという風習があります。昔は死霊に対する恐怖心が強かったので、死霊が再び家に戻らないようにするため、あるいは戻ってきてもご飯を食べるお茶碗はここにはないことを、故人にわからせるため、などといわれています。
一膳飯
お茶碗にご飯を山盛りに入れ、真ん中に故人が使っていたお箸をまっすぐにたてます。「死者に供える食べ物であって、生きている者には分けない」ことを意味するといわれます。また、この盛り方は、故人にたくさん食べてもらいたいという家族の思いやりが込められているともいわれます。
三日経
収骨後に行う節目のお経のことです。火葬用の炉のない時代は、火葬に二昼夜を要し、三日目に収骨されたことから収骨後のお経を三日経と呼ばれるようになったという説があります。
三日膳
三日経の後に行われる会食のことです。喪家が席を設け、菩提寺のご住職、親族、お世話になった隣人・知人をお招きし、故人を偲びながら会食をします。その席において喪主は始まりと終わりにお礼のあいさつをします。
精進落し
本来は、葬儀の手伝いを終えた隣家の方々が、その後の会食(三日膳)までの待ち時間に召し上がった飲食のことをいいます。「たすきぬぎ」ともいいます。近年は三日膳と混同されていることが多いですが、別々のことです。
四十九日
四十九日には、初七日から七日ごとに受けたお裁きにより来世の行き先が決まる最も重要な日で、「満中陰(まんちゅういん)」と呼ばれます。故人の成仏を願い極楽浄土に行けるように、家族や親族のほか、故人と縁の深かった方々を招いて法要を営みます。
そしてこの日をもって「忌明け(きあけ)」となるので法要後、忌明けの会食を開きます。
法要は忌日(きび)の当日に行うのが理想ですが、実際には参列者の都合もあり、最近は週末に行うことが多いです。法要の日をずらす場合は、遅れてはいけな いとされています。忌日より早めに行うのであれば、何曜日でも構いません。尚、寺院とも前もって日時を打ち合わせなければなりません。四十九日は、喪に服 していた遺族が日常生活に戻る日でもあります。
四十九日までの心得
葬儀の後、遺骨・御遺影・白木の位牌をご安置し、花や灯明・香呂を置く為の中陰檀(後飾り祭壇)を設けます。中陰の四十九日の間、家族は中陰檀の前に座り、故人が極楽浄土に行けるように供養します。
一般には四十九日までが忌中で、この期間は結婚式などのお祝い事への出席や、神社への参拝は控えるようにします。
四十九日饅頭
四十九餅が地方によっては饅頭に変わったものです。四十九日の法要の際にお供えをします。親族や参会者に配って食べてもらうことで、死者の身体の節々に打ち込まれた釘が抜けるともいわれています。
百ヶ日
死亡の日から数えて百日目に行う法要を、「卒哭忌(そっこくき)」と言いますが、わかりやすいので、「百ヶ日」と呼んでいます。「卒哭」とは「泣くを卒わる」ことを意味します。古代からの卒哭の死後祭祀は、卒哭忌の追善供養として現在も行われています。
御霊様(みたまさま)
故人が初めて迎える正月に寺院へ持参し、お供えする餅のことです。
一周忌と三回忌
実際の法要はその日より早めに行うことが多いですが、 亡くなって満一年経った日を一周忌といいます。亡くなって二年目の命日には三年目を迎えるということで三回忌を行います。以降の年忌法要はこれを迎えるという意味から「かぞえ」で数えます。